事務所に勉強にきている学生Tさんが、大学で配布された資料の中で、篠原一男設計の「直方体の森」という住宅の模型を自主作成していました。正直この住宅の事は知らなくて、出来上がった模型を見て面白い建築だと関心していたところ、実は今その住宅は美術館として中を見ることができるという。
川崎市麻生区に「中村正義の美術館」があります。
これがこの「直方体の森」です。画家中村氏の為に設計された住宅で、死後、氏の美術館として開館しています。これはいくしかないでしょう、ということで先日行ってきました!

アプローチ。山を切り開いて開発された住宅地にひっそりと佇み、庭には樹木が生い茂り穏やかなアプローチとなっています。

1階の開口部は半間程セットバックしており、壁・窓の違いをより明確にしています。「マッス・塊」感がより強調されています。
後年、増築された玄関ポーチ(篠原一男設計ではない部分)。庇を支える4箇所の支柱がそれぞれ2本に分離され、細さを出しています。1本ですとざっとこの2本分の断面積の柱となるのを避けているのでしょう。
そういえば、コルビュジェも1927年のドイツ工作連盟の
ヴァイセンホフ・ジードルンク展でも柱を2本に分けて軽さを強調しようと試行していましたね。
特にこのコルビュジェの住宅では、軒の下となるので、下部の暗がりを利用して、柱の色を暗い色で塗って、より存在感を消そうとしていますね。逆にその頃のミースは鏡面の十字柱で物理的なボリュームと視覚的な存在を消そうとしていますね。(Barcelona PavillionやTugendhat Villa in Brno)
私はその延長線上に伊東豊雄のせんだいメディアテークのチューブ柱が位置づけられると。

よく見ると、基礎の立ち上がり部を黒塗装していますね。ここが白いと「直方体の森」でなくなりますね。コンセプト貫徹というところですね。
次回は学生Tさんの「直方体の森」の内部模型を紹介できればと思います。
ちなみに美術館へのアクセスは京王よみうりランド駅からゴンドラに乗ってから徒歩10分ほどです。
丸菱建築計画事務所
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by kajinoryuji
| 2010-11-15 11:18
| 建築と名作見学
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